経営管理ビザ

在留資格「経営管理」の概要

「経営管理ビザ」(在留資格「経営・管理」)は、外国籍の方が日本国内で会社を設立・経営したり、日本企業の管理職として事業運営に関わる際に必要となる在留資格です。

主な対象者

  • 日本で新たに会社を設立して経営したい方
  • 既存の日本法人の経営を引き継ぎたい方
  • 日本法人の管理職として経営業務に従事する方

経営管理ビザの取得要件【2025年最新】

1.基準省令に基づく取得要件

  • 「事業の経営を行う者」又は「事業の管理に従事する者」であること
  • 事業所(事務所)の確保していること
  • 原則500万円以上の出資または投資があること
  • 事業の継続性・安定性を有していること
  • 経営者/管理者としての適格性

2.必要書類

上記の取得要件を満たしていることを示す資料として、以下の申請時には以下の資料を提出する必要があります。

  • 会社設立登記簿謄本
  • オフィスの賃貸借契約書+現地写真
  • 資本金払込証明書(通帳コピー)
  • 事業計画書(収支予測含む)
  • 履歴書(学歴・職歴)
  • 役員報酬規程 or 雇用契約書
  • 事業スケジュール表
  • 納税証明書(更新申請時)

経営管理ビザの審査ポイント

1.事業所(オフィス)の確保

原則として「実体のある事務所(オフィス)」が必要となります。例外的な場合を除き、自宅兼用も原則NGです。また、最近ではオフィスにも様々な形態がありますが、審査上OKであるものもあれば、NGとなるものもあるため注意が必要です。

オフィス形態経営管理ビザ審査での扱い注意点
通常の賃貸事務所◎(一番安心・推奨)
レンタルオフィス(個室型)◯(条件付きでOK)入口・社名掲示・専用スペース要
シェアオフィス(固定席あり)△(要確認)個室/固定席/社名表示が必要
バーチャルオフィス✕(不可)申請してもほぼ不許可になる
自宅兼用(自宅住所で登記)✕(原則不可)業種や状況により極めて例外的に通ることもあるが、非常にハードル高い

2.資本金500万円以上の投資

経営管理ビザにおける会社側の基準として、「資本金の額又は出資の総額が五百万円以上であること」とする基準が定められています。会社の形態の種類(株式会社、合同会社など)は問われませんが、資本金、出資金は500万円以上が必要です。

3.事業計画の整備

経営管理ビザ取得における審査では、その事業が単なる「夢」ではなく現実的・実行可能な計画を伴うものであるか?という観点から、「事業が実態的に存在するか」「継続性・収益性があるか」「生活が成り立つか」という事項が審査されます。このような審査事項を説明するために、以下のような項目についての事業計画書を準備する必要があります。

  • なぜこの事業を日本で行うのか(日本市場のニーズ、競争優位性)
  • 事業の成長戦略(1年後、3年後、5年後の目標)
  • 今後1年間~3年間の収支予測
  • 事業開始までのスケジュール(登記完了、事務所準備、営業開始時期)
  • 今後の具体的な事業展開スケジュール(半年、1年後など)

4.代表者・管理者としての適格性

単なる名義貸しや、経営実態がない申請を防ぐため、入管は「この人が本当に経営や管理をする能力があるか」について審査します。具体的には、経歴・職歴と事業との関係性、経営能力、日本語能力、会社での役職、報酬などがチェック項目となります。

経営管理ビザ取得の流れ

相談/面談
当事務所では初回の相談、面談については無料で対応しております。
事業計画の策定サポート
ヒアリングを通じて、 事業内容の明確化し、補強資料の助言や文書構成の整備などを行います。 
オフィス契約・法人設立登記
オフィス契約・法人設立登記によりビザ取得要件を確保します。当事務所では、これらのサポート業務も可能です。【>>会社設立と経営管理ビザの取得】
経営管理ビザ申請書類作成・申請
必要書類を整え、入管への申請書類を作成・申請をします。
審査
入管での審査期間は3ヶ月以上掛かります。最近は特に長期化傾向にあり半年程度の期間を要すこともありますので、余裕のある申請計画が必要となります。
許可・日本での事業開始
経営管理ビザが出ると在留カードが発行され、会社名義・代表者名義の銀行口座を開設することがが可能となります。これにより、本格的に日本での事業が開始することができます。

外国企業が日本に進出する場合には、会社設立から始める必要があります。しかし、最近の金融事情により会社設立をする上で非常に重要な「銀行口座の開設」が非常に難しくなっています。当事務所では、銀行口座開設を含めた会社設立サポートも行っております。

必要書類

本人関係書類(申請者本人の書類)

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 写真(縦4cm × 横3cm)
  • パスポートのコピー
  • 履歴書(学歴・職歴)

会社関係書類(設立済法人に関する書類)

  • 登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 定款のコピー
  • 事業計画書
  • 事務所賃貸借契約書
  • 資本金払込証明書

財務関係書類

  • 資本金出所証明(必要な場合)
  • 直近の売上・契約書(準備中でも可)

在留期間

在留期間は5年、3年、1年、6月、4月又は3月と定められています。ただし、最初の在留期間は 4か月や1年のように比較的短い在留期間が付与されます。更新時により長期の在留期間を希望することになりますが、在留期間は事業の進捗と収益状況により判断されます。また、長期的に安定した事業運営により永住申請も可能となります。

経営管理ビザ取得後の注意点

折角経営管理ビザを取得しても、「経営状態不安定」「会社運営が不透明」「会計処理が不適切」であると在留期間の更新が認められず、日本での経営を継続することができなくなります。そのため、経営管理ビザ取得後には以下の点に注意が必要となります。

実際に事業を継続していること一時的な赤字計上は許容されるが、休業状態・連続赤字はNG
オフィスを維持すること賃貸借契約終了はNG
収支の整合性適正な会計処理・税務申告が行われていることが必要
役職・会社の運営体制の維持取得時と同様の 役職・実質的な経営関与 が求められる
報酬(生活基盤)の維持生活できる水準の報酬が継続して支払われていること
法令遵守(コンプライアンス)労基法・税法・社会保険法など各種法令の遵守
変更事項の届出義務オフィスの住所変更時などにおける届出義務の履行

よくある質問(FAQ)

Q1. 日本に住んだことがなくても経営管理ビザを取得できますか?

A:
はい、日本に住んだことがない方でも、日本国内に実体のある会社とオフィスを設立し、必要書類を整えることで取得が可能です。
ただし、現地での事務所契約や銀行手続きなど、日本側での準備が必要になるため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

Q2. 資本金500万円は現金で用意する必要がありますか?

A:
原則として、会社設立時点で資本金500万円以上を銀行口座に入金し、その証明(払込証明書等)を提出する必要があります。
ただし、現金以外の資産(物品など)による出資は複雑な手続きが必要になるため、通常は現金で準備するケースが一般的です。

Q3. オフィスはバーチャルオフィスでも申請可能ですか?

A:
経営管理ビザでは「実体のある事業所(事務所)」が求められます。したがって、バーチャルオフィスは不可です。入管では現地確認やオフィスの写真、賃貸借契約書などを通じて事務所の実在性を確認します。

Q4. 経営管理ビザを取得後、家族も日本に呼ぶことはできますか?

A:
はい、経営管理ビザ取得後に「家族滞在ビザ」で配偶者や子どもを帯同させることが可能です。
ただし、家族の帯同には別途申請が必要となりますので、取得後に順次手続きを進めます。

Q5. 既にある日本法人の経営に関わる場合でも申請できますか?

A:
はい、既存の日本法人に対して、新たに外国籍の方が経営者または管理者として就任する場合も経営管理ビザの申請が可能です。この場合は会社の状況(収益・オフィスなど)を踏まえて申請書類を準備します。

まとめ

経営管理ビザは、日本市場での事業拡大を目指す企業や母国での事業を日本に展開したい経営者にとって非常に有用なビザです。しかし、この経営管理ビザは必要書類も多く、審査対象となるポイントも多いため、非常に取得が難しい部類に入ります。特に最近では、外国企業による新規での銀行口座開設は、マネーロンダリング対策などの観点から非常に難しくなっています。

当事務所では、事業計画や銀行口座開設のサポート、更に司法書士事務所との連携による会社設立登記、経営管理ビザの取得までを一貫して行うことが可能です。経営管理ビザ取得をご検討の際には、是非お問い合わせ下さい。