興行ビザ

在留資格「興行」(興行ビザ)とは

興行ビザとは、外国人が日本で演劇、演芸、音楽、スポーツなどの興行活動に従事するための在留資格です。特に近年は、スポーツの国際化やK-POPブームの影響により、海外のアーティストやプロ選手が日本で活動する機会が大幅に増えています。そのため、これまで以上に興行ビザの重要性が高まっています。本ページでは、在留資格「興行」について、具体例を交えながら詳しくご説明します。

対象となる活動例

興行ビザは活動内容毎に1号、2号、3号に分かれています。また基準1号については、受入機関の実績や興行規模などにより更にイ・ロ・ハの3種類に分類されています。

区分活動内容代表的な例
1号イ演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏(演劇等)の興行に係る活動興行機関の実績が豊富で、健全な小中規模施設での芸能興行芸能興行
1号ロ東京ドームや武道館でのK-POPライブ、短期公演での世界的アーティスト招聘など
1号ハ小劇場での舞台、ライブハウスでのイベント、地方興行など
2号演劇等の興行に係る活動以外の興行に係る活動に従事する場合プロスポーツ選手やコーチ等の活動
3号興行に係る活動以外の芸能活動に従事しようとする場合商品の宣伝、テレビ出演、雑誌の撮影、レコーディングなど

このように活動内容ごとに分類されております。これらの1号~3号の基準毎に詳細な要件や必要書類は異なります。それぞれの詳細については以下の各ページにおいて説明いたします。

3号

在留資格「興行」の取得要件

① 活動内容の実体と正当性

活動内容の実体と正当性とは、申請者が日本で行う興行活動が、実際に存在し、かつ正当なものであることを意味します。具体的には、公演や撮影、出演などの活動が、台本やスケジュール、企画書、会場情報などによって裏付けられている必要があります。加えて、その活動が不特定多数を対象とした営利的なものであり、単なる名目上の契約ではないことが重要です。さらに、報酬を伴う実質的な就労活動であることを明確に示すことが求められます。

② 雇用・契約関係

雇用・契約関係については、興行ビザ申請者と招聘機関との間で締結された出演契約や業務委託契約において、報酬額、活動内容、拘束期間、勤務条件などが明示されてことが求められます。例えば、契約書が曖昧であったり、報酬の明示がない場合は、実態のある活動と認められず、不許可となるリスクが高まります。

③ 本人の適格性(経験・実績)

本人の適格性とは、申請者が興行活動に必要な経験や実績を有しているかを示すことを指します。たとえば、過去の出演歴、芸歴、受賞歴、専門的な訓練や教育などが該当します。特に、単なるアマチュアではなく、一定の専門性・技能を備えていることが重要です。さらに、ポートフォリオや職歴証明などを通じて、その活動能力を客観的に裏付ける資料を提出することが求められます。

④ 招聘機関(受入側)の適格性

招聘機関の適格性とは、外国人を受け入れる日本側の団体や企業が、法的・運営的に信頼できる体制を備えているかを示すものです。具体的には、法人としての登記がなされていることに加え、興行主催の実績や財務状況、常勤職員の有無などが確認されます。さらに、過去に不法就労を助長した経歴がないことも重要です。このように、受入機関の社会的信用が審査の大きな判断材料となります。

⑤ 興行施設の適格性(特に基準1号)

興行施設の適格性は、活動が行われる会場が法令に適合し、適切な構造・設備を備えていることが求められます。たとえば、客席数や舞台設備、音響・照明の有無、避難経路などが基準を満たしているかが確認されます。さらに、風営法の対象となる施設でないこと、接待を伴わないことも重要な条件です。このように、施設が公的・職業的な興行にふさわしい環境であるかが興行ビザの審査の対象となります。

5. 在留期間

3か月、6か月、1年、3年、5年(※初回で3年超が付与されることはまれ)

在留期間の付与は、活動の規模や契約期間、過去の招聘実績などを総合的に判断して決定されます。たとえば、公演が短期であれば3か月や6か月が付与されることが多く、長期の継続契約がある場合には1年や3年が認められることもあります。ただし、初回申請で3年を超える在留期間が付与されることは、極めてまれです。

6. 興行ビザに関するFAQ(よくある質問)

Q1. ダンスや歌の発表会も「興行ビザ」が必要ですか?

A1. 観客から料金を取るなど、営利性がある場合は原則として興行ビザが必要です。一方、非営利の教育的発表会や文化交流イベントであれば、他の在留資格や短期滞在で対応可能な場合もあります。

Q2. 興行ビザと短期滞在ビザ(商用など)は何が違いますか?

A2. 短期滞在ビザでは報酬を得る活動(就労)は禁止されています。興行ビザは、報酬を得て演奏・出演・スポーツ参加等を行う場合に必要です。単なる打ち合わせ・視察は短期滞在で足りますが、舞台に立つ行為は就労にあたるため注意が必要です。

Q3. 日本とのビザ免除国の人が来日しても、興行に出演してよいですか?

A3. いいえ。ビザ免除で入国しても、興行活動(報酬のある出演など)はできません。就労が伴うため、たとえ短期でも事前に「興行ビザ」の取得が必要です。

Q4. 興行ビザの審査期間はどれくらいですか?

A4. 在留資格認定証明書(COE)を申請する場合、通常1~2か月程度が目安です。ただし、公演日が近いなどの事情がある場合は、事情説明書の提出で迅速審査が検討されることもあります。

Q5. どんな場合に不許可になるのですか?

A5. 典型的な不許可要因には、

  1. 契約書の内容不備
  2. 活動実体の不明確さ
  3. 招聘機関の信頼性欠如
  4. 申請者の実績不足
  5. 興行施設が風営法対象である

などがあります。

Q6. 複数のイベントをまたぐ場合、1回の申請で可能ですか?

A6. 原則として、同一招聘機関が主催・関与する複数イベントであれば1回の申請で可能です。出演予定一覧やスケジュールを添付し、全体の活動を明示する必要があります。

Q7. オンライン配信イベントも興行ビザの対象になりますか?

A7. 報酬を受けるオンライン配信イベントも、実演の収録・配信のために日本で活動する場合は対象となります。実態がある限り、場所にかかわらず興行ビザが必要です。

Q8. モデルやグラビア撮影だけでも興行ビザが必要ですか?

A8. はい。商業用の撮影(カタログ、雑誌、広告など)で報酬を受ける場合は、「興行ビザ」や「特定活動」の対象となります。活動内容・契約に応じて分類が異なるため、事前確認が重要です。