公正証書とは、私人からの嘱託により、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書のことです。つまり、当事者間が作成した書類の公正証書化に、強い証明力や執行力を付与されます。例えば、私人間の金銭消費貸借契約の契約書があった場合に、金銭の支払が滞ると裁判になることがあります。裁判ではその契約書の真偽が争点になることもあります。しかし、これを公正証書にしていれば強い証明力があります。また、公正証書化に際し、強制執行条項を盛り込で執行力をもたせることも可能です。
公正証書の種類
公正証書は、公正中立な第三者である公証人が当事者の述べる事を確認して作成します。基本的にはどのような内容の契約でも、公正証書を作成することができます。ここでは公正証書を作成する書類例を紹介します。
金銭契約に関する公正証書
金銭消費貸借契約公正証書 | 金銭の貸し借りに関する契約 |
債務承認弁済契約公正証書 | 確定した債務の支払方法を定める契約 |
男女関係に関する公正証書
離婚給付契約公正証書 | ①離婚の合意、②親権者と監護権者、③子供の養育費、④子供との面会交流、⑤離婚慰謝料、⑥離婚による財産分与、⑦住所変更等の通知義務などに関する契約 |
準婚姻契約公正証書 | 婚姻届を提出していないため法律上の夫婦とは認められない夫婦、いわゆる内縁(事実婚)関係における契約。最近では法律婚への違和感のあるカップルや同性婚において利用されることもある。 |
内縁解消に伴う給付契約公正証書 | 婚姻届を提出しなかった内縁関係にある夫婦がその関係を解消する際の財産の清算や子供の養育権に関する契約 |
婚約解消による慰謝料支払等公正証書 | 正当な理由もなく相手方から一方的に婚約破棄された場合における損害賠償に関する契約 |
老後の財産管理に関する公正証書
遺言公正証書 | 死後の財産の処分方法に関する遺言書の公正証書。自筆遺言だと適正に作成されていない場合や開封方法を誤った場合などに無効となる恐れがあるのに対し、公正証書遺言は安全な遺言方法です。 |
死因贈与契約公正証書 | 贈与契約の一種で、贈与者の死亡により財産を贈与する契約。遺言のような厳格な様式はなく、税金面では生前贈与による贈与税よりも安い相続税の対象となる。 |
任意後見契約公正証書 | 認知症や障害の場合に備えて、あらかじめご本人自らが任意後見人に、財産管理や介護をしてもらう事を約束する契約。この契約は、公正証書として作成することが義務付けられています。 |
特許に関する事実実験公正証書 | 特許権に対し、既に当該発明を使用していたことを証明する先使用権保全のための事実実験公正証書 |
貸金庫開扉の事実実験公正証書 | 金庫を開く手続が適正に行われていることを証拠保全するための事実実験公正証書 |
尊厳死宣言公正証書 | 嘱託人が自らの考えで延命措置を控え、中止する旨の宣言を公証人が聴取した結果についての事実実験公正証書 |
公正証書作成の手順
- 公正証書の原案作成
- まず当事者が公正証書の原案となる契約書を作成します。弁護士や行政書士等の専門家に原案作成を依頼することもできます。
- 公証役場に連絡
- 電話又はメールで公証役場に連絡し案件の概略を説明します。その後、担当となる公証人の先生がきまります。
- 公証人との事前協議
- 担当の公証人から連絡が入り、原案の事前協議について打ち合わせをします。
- 公証証書の作成日程の調整
- 原案が完成すると公正証書作成日程を公証人と調整します。
- 公証証書の作成
- 当事者が公証役場に集まり、公証人が作成した公正証書を読み上げます。そして、公証人及び当事者署名・押印し、公正証書が完成となります。
公正証書作成サポート
契約は契約自由の原則に基づき、当事者の自由意思により作成が可能ですが、公正証書では日本の法律や公序良俗に反する内容を記載することはできません。しかし、慣れていない方が法律に則した原案を作成するのは非常に困難です。公証人との協議で助言を頂くことはありますが、詳細内容について一から作成に関わってもらえる訳ではありません。
当事務所では公正証書案の作成を一からサポートします。また、公証人との協議や日程調整といった公証役場とのやり取り、代理人としての公正証書作成など御要望に合わせた対応を致します。
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