著作権のイメージ写真

1.著作権とは

言葉自体は誰もが耳にしたことがある「著作権」。著作権というと映画、音楽、小説などが思い浮かぶのではないでしょうか。映画上映前CM「NO MORE 映画泥棒」はインパクトがあって記憶に残っている方も多いと思います。あのCMは著作権法違反を防止するためのものです。著作権の対象となる著作物については著作権法に規定があります。

著作権法10条1項

  1. 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
  2. 音楽の著作物
  3. 舞踊又は無言劇の著作物
  4. 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
  5. 建築の著作物
  6. 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
  7. 映画の著作物
  8. 写真の著作物
  9. プログラムの著作物

これらは例示列挙であり、これらに含まれなくても、

  • 「思想又は感情」の表現であること
  • 「創作的」なものであること
  • 「表現したもの」であること
  • 「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」であること

という4つの条件を満たすものであれば著作権法で保護されます。

現代社会では街のいたるところに著作物があります。特にインターネット上では著作物で満ちており、著作権の侵害には注意が必要です。例えばインターネット上の著作物をコピーアンドペーストしてHPに載せることは著作権法違反に該当する恐れがあります。また写真のアップロードについても同様です。このように現代社会に生きる私たちは著作権に関する知識をしっかり身に付けておく必要があります。

2.著作権の利用と保護

著作権で保護される権利には様々なものがあります。ここでは主要な著作権を紹介します。

(1)複製権

著作権法では複製について「有形的に再製すること」としています。「有形的に再製」は媒体に固定することを意味し、CDやDVDへの録画、録音やコピー機での印刷、手書きでの書き写し等があります。著作者はこの複製権を専有することが定められているため、他人によるこれらの行為は複製権の違反となります。

(2)上演権・演奏権

作曲した曲を公に演奏する行為は演奏に該当し、演劇を演じることが上演に該当します。更に生の上演・演奏の他、録音や録画されたものを再生することも上演・演奏に含まれます。

(3)上映権

映画のスクリーンやテレビ・パソコンの画面での映写や建物にCG等を映写するプロジェクションマッピングも上映に該当します。

(4)公衆送信権

  • テレビ・ラジオ等による放送
  • CATV放送、有線音楽放送
  • インターネットのHPによる自動公衆送信

などが公衆送信に該当します。まだ送信されていない状態であっても送信がいつでも行える状態(送信可能化)も公衆送信に該当します。

3.著作権の保護期間

著作権の保護期間は著作物が創作されたときから始まります。そして、原則的に著作者の死後70年間保護されます。ここで「原則的に」と表現したのは、著作者の死亡時を起算点とすることができない場合があるためです。死亡時起算ができない場合は、公表時から起算して70年間が保護期間となります。では死亡時起算ができないのはどのような場合でしょうか?

(1)著作者が無名・変名の場合

著作者が無名又は変名(ペンネームなど)で死亡時期が不明の場合には公表時起算が適用されます。但し、ペンネームでの著作物でも著作者が誰であるか知られている場合には死亡時起算が適用されます。例えば太宰治はペンネーム(本名:津島修治)ですが周知の変名として死亡時起算が適用されます。

(2)著作者が団体名義の場合

会社などの団体が著作者となることも最近は多いです。自然人ではない法人には死亡という概念がないため、著作者名が企業名である場合には公表時起算が適用されます。

(3)映画の著作物の場合

映画は監督・プロデューサー・各部門監督・カメラマン・俳優などの総合的な活動により生み出される創作物です。創作活動の中で部分的な寄与にとどまる場合には著作者には該当しません。一般的には映画監督が著作者になることが多いようです。但し、これは形式的な著作者であり、実質的には多数の人が関与しているため著作者の確定は非常に困難です。そこで映画の著作物については保護期間の死亡時起算は適用されず、公表時起算となっています。

4.著作権登録の意義

著作権は創作と同時に保護が開始します。他の知的財産権のように登録が権利の発生要件ではありません。しかし、権利を移転した後に権利譲受人が権利行使する場合を考えてください。公的機関に権利の存在が認められていなければ、著作者以外から利用料を求められた第三者の立場からすると支払い根拠が不明確です。そこで、著作権者の移転等に対応すべく著作権登録制度が必要となりました。著作権登録申請は文化庁に対して行います。【>>文化庁HP】他にも著作権登録制度の意義はあります。以下に著作権登録の意義を列挙します。

(1)著作権等の移転等登録

著作権や著作隣接権の移転があった場合、登録権利者又は登録義務者はその登録をすることができます。

(2)著作者の実名登録

無名又は変名の著作者は実名の登録をすることができます。この登録により無名又は変名の著作者であっても保護期間は死亡時起算が適用されます。

(3)創作年月日の登録

プログラム著作物の著作者は,当該プログラムの著作物が創作された年月日の登録を受けることができます。

(4)出版権の設定等登録

出版権の設定,移転等,又は出版権を目的とする質権の設定等があった場合,登録権利者及び登録義務者は出版権の登録を受けることができます。

最近の著作権等の登録状況については、著作権登録件数に関する記事【>>著作権の登録件数について】をご参照ください。

5.著作権関連の行政書士業務

著作権に関して行政書士は以下の業務を行うことができます。

  • 著作権の登録申請業務
  • 著作権関連の契約書の作成
  • 著作者不明時の場合の裁定申請
  • 著作権に関する相談業務

著作権侵害による多大な損害賠償請求などを避けるため、著作権について不安がある場合には専門家にご相談することをお薦めします。

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