就労資格証明書とは
就労資格証明書は、法務大臣が外国人の就労活動範囲を証明する書面です。「法務大臣が証明する書面」というと重厚感のあるとても重要な証明書のようにも思えます。しかし、この証明書は何らかの場面で必ず必要となる書面ではありません。それでは、この就労資格証明書が存在する意義は何なのでしょうか?
この証明書は主に就労ビザを有している外国人が転職をする際に利用されます。例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を保有する外国人が、1年間の在留期間を残して転職する場合を考えてみます。この外国人は「技術・人文知識・国際業務」の範囲内の転職先を探して転職しました。しかし、「技術・人文知識・国際業務」は前職の業務内容に基づき審査されたものです。個人が「この仕事は在留資格の範囲内だ」と思っても、公的証明はありません。もし更新時に「範囲外」と判定されるとどうなるでしょう?外国人は仕事を得て日本に在留していたのに突然帰国しなければならなくなります。また、転職先企業は突然戦力を失うことになります。
このような事態を避けるため、転職前段階に「新たな仕事」と「その外国人が保有する在留資格」の在留資格該当性を出入国在留管理庁で審査し、その結果を証明する「就労資格証明書」が意味を成します。
取得のタイミング
就労資格証明書の取得については外国人が取得しようと考えたときであれば、いつでも取得申請が可能です。但し、転職する外国人においては申請書類に添付する書類として「前職の退職証明書」「前職での源泉徴収票」が必要となる場合があります。転職して時間が経ってからでは前職から書類を入手することは困難であることも多いので、転職前に申請又は転職前に書類を入手しておくことをお勧めします。
申請時の必要書類
【外国人自身が準備する書類】
- 就労資格証明書交付申請書
- 在留カード(提示)
- パスポート又は在留資格証明書
- 資格外活動許可証(持っている場合
- 履歴書
- 卒業証書
- 成績証明書
【転職前の企業から発行してもらう書類】
- 退職証明書
- 源泉徴収票
【転職後の企業から発行してもらう書類】
- 雇用契約書
- 雇用理由書
- 定款の写し
- 登記事項証明書
- 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計書
- 会社案内
就労資格証明書への記載内容
実際の就労資格証明書は以下のようなものになります。
この証明書には以下のポイントが記載されています。
- 氏名
- 外生年月日
- 保有する在留資格
- 在留期間
- 保有する在留資格に関する具体的内容
- 保有する在留資格と転職先における業務の在留資格該当性の有無
就労資格証明書が効力を発揮する場面
「技術・人文知識・国際業務」は様々な職種が対象となる在留資格です【>>技術・人文知識・国際業務ビザ参照】。例えばシステムエンジニアとして在留資格を得て、貿易会社で貿易手続を行う事務員に転職をするパターンを検討します。
システムエンジニアも貿易会社の事務員も「技術・人文知識・国際業務」として認められる可能性の職種です。しかし職種自体は全く異なる職種ですので在留資格該当性判断において疑義が生じる可能性もあります。この転職のタイミングで在留期間が残り3ヶ月程度であれば、更新申請をすることになりますが、1年以上のように長期間残っている場合であれば、更新申請はできません。そこで、就労資格証明書を取得しておきます。
就労資格証明書があれば転職直後の更新タイミングで「在留資格該当性が無い」と突然言われるリスクを大幅に軽減できます。
標準処理期間
勤務先変更が無い場合 : 当日
勤務先変更があった場合など : 1か月~3か月