永住権の取得(日本人の配偶者等)

日本人と結婚した配偶者や日本人の子供であって外国籍を選択した方は、「日本人の配偶者等」の在留資格を取得することができます。【>>日本人の配偶者等】

この在留資格を取得後、長年日本で生活をすると生活の基盤が日本になります。生活の基盤ができれば、ずっと日本で生活をしたいと考えるようになると思います。しかし、「日本人の配偶者等」のままでは在留期間の更新が必要です。また、離婚や死別等で日本人の配偶者等の在留資格を維持できなくなることもあります。

日本に生活基盤があり、一定の条件を満たせば、日本の永住権を取得する途が拓けます。特に「日本人の配偶者等」の在留資格では、永住権取得までの在留期間の面で他の在留資格よりも優遇されている部分があります。このページでは「日本人の配偶者等」から永住権の取得について説明をします。

永住権取得の判断基準

日本人の配偶者等の在留資格保有者が以下の条件を満たしている場合、永住権を取得できる可能性があります。

1.在留期間

引き続き1年間日本に在留していること。ただし、実態を伴った婚姻生活を3年以上継続していること。

2.在留資格

3年以上の在留期間を付与されていること。

3.年収

年収の条件については、審査基準で開示されていません。ただし、過去の事例から世帯年収で300万円+30万円(×扶養人数)が一つの基準と考えられます。つまり、世帯主と配偶者のみの家族であれば330万円。世帯主と配偶者+子供1人の家族であれば360万円が最低限必要になります。また、この世帯年収は提出する所得証明書類の全期間で基準金額を超えている必要がありますので、直近3年間は基準金額以上の世帯年収が必要です。

4.納税

税金・年金・健康保険料といった公的支払義務を期日内に履行していることが必要です。申請時に提出する納税、年金、健康保険料の納付状況を証明書類の全期間において遅れなく納付していることが必要です。

所得税・住民税  ⇒ 直近3年間

年金・健康保険料 ⇒ 直近2年間

日本人配偶者ビザをお持ちで、上記4つの条件を満たしている方は、永住権取得の可能性があります。詳細な条件は次の項目を読み進めて下さい。ただし、法律的な内容も含まれております。ご自身の永住権取得可能性について取り急ぎ確認したい方は、当事務所にお問い合わせ頂ければ、永住権取得要件を満たしているかどうかの簡易調査を致します。

永住権の取得要件(法律面)

日本の永住権取得にについては、以下のように法律で要件が定められています。

法務大臣は、その者が次の各号に適合し、かつ、その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる。ただし、その者が日本人、永住許可を受けている者又は特別永住者の配偶者又は子である場合においては、次の各号に適合することを要しない。

  1. 素行が善良であること。
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。
入管法第22条第2項

この入管法第22条第2項から、永住権取得には国益要件、素行善良要件、独立生計要件が求められます。

国益要件

日本の利益に合致する者として、以下の要件を満たすことが求められています。

  1. 長期間にわたり日本社会の構成員として居住していること。(在留期間要件)
  2. 所得税・住民税、公的年金、公的医療保険料の納付を適正に履行していること。(納税要件)
  3. 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。(公衆衛生要件)
  4. 著しく公益を害するおそれがないと認めれられること。(公益要件)

素行善良要件

以下の要件を満たさないければ、素行が善良ではないとされます。

  1. 日本国の法令に違反して、懲役、禁錮または罰金刑に処せられたことがある者
  2. 少年法による保護処分が継続中の者
  3. 日常生活または社会生活において、違法行為または風紀を乱す行為を繰り返して行うなど素行善良と認められない特段な事情がある者

軽微な違反であればすぐに素行不良と判断されるわけではありません。ただし、交通違反などを繰り返し経歴があると素行不良と判断されることがあります。5回以上の軽微な違反がある場合には注意が必要となります。

独立生計要件

日常生活において自らの収入や財産で安定した生活が見込まれることが必要です。具体的には生活保護保護を受給が必要となるような場合、この要件を満たしません。

これらの3つの要件は、永住権取得全般における要件です。ここで、改めて入管法第22条2項を見ると、日本人の配偶者については、ただし書において「素行善良要件」と「独立生計要件」は必要ない旨が規定されています。つまり、日本人の配偶者等の在留資格保有者は、法律上は国益要件のみが要求されることになります。ただし、実務上は重大犯罪などに関する審査は行われます。また、独立生計については世帯生計が審査対象となっています。

永住権の取得要件(実務面)

上述の永住権の取得要件(法律面)で説明した通り、日本人の配偶者等の在留資格保有者に対する永住権取得においては一部要件が緩和され、次の内容が審査されます。

  1. 国益要件
  2. 素行善良要件 ⇒ 重大犯罪や繰り返しの法令違反の有無
  3. 独立生計要件 ⇒ 世帯収入

具体的には、国益要件として「婚姻実態、日本在留期間、納税状況」、独立生計要件として「身元保証人となる配偶者の資産・収入状況」などが審査対象となります。申請者は、審査対象を証明する資料を提出することになります。

永住権の取得要件における国益要件の特例(日本人の配偶者等の特例)

国益要件としては上述の通り、在留期間要件、納税要件、公衆衛生要件、公益要件の4つがあります。日本人の配偶者等の在留資格では、永住権取得のための在留期間について、要件が緩和されています。

在留資格合計在留期間現在の在留資格での在留期間
原則引き続き10年以上引き続き5年以上
日本人の配偶者等引き続き1年以上
(実体を伴った婚姻生活が3年以上)

永住権の取得のための必要年収

「日本人の配偶者等」の場合、世帯単位での経済力が審査対象となります。審査基準では「日常生活において公共の負担となっておらず、かつ、その者の職業又はその者の有する資産等から見て将来において安定した生活が見込まれること」と記載されているのみで、具体的な金額は明示されていません。これは、日本の物価や景気、申請者の年齢、生活する地域によって「安定した生活」に必要な年収に変化が生じるためです。

目安となるのは、日本の正社員の年収です。【>>Doda正社員年収の中央値は?】このサイトの情報によると、全体の年収平均値は414万円、中央値は360万円となっています。安定した生活のためには、中央値の360万円は一つの基準になると考えられます。

世帯年収の審査資料として、直近3年分の所得資料を提出します。直近3年間通じて基準世帯年収以上である必要があり、1年間でも不足すると不許可の可能性が高くなります。

永住権の取得のための納税要件

最近の状況としては、この納税要件が非常に厳しくなっています。納税要件に関する必要書類は直近3年間の所得税及び住民税の納税証明書、直近2年間の年金及び公的保険料の納付証明書等を提出する必要があります。これら3年間や2年間の間に、一度でも未納期間があると永住申請が不許可になります。未納を解消するために後追いで納付したとしても、永住権取得の観点では認めらず、納税要件を満たしていないと判断されます。

永住権の取得のための必要書類

② 3ヶ月以内に撮影した写真(縦4cm×横3cm) 1枚

③申請者を含む家族全員の住民票・・・マイナンバー、住民票コードは省略。その他は全て記載

④ 申請者の旅券及び在留カードの提示

⑤ 申請人又は申請人を扶養する者の職業を証明する資料

⑥ 直近3年分の申請人及び申請人を扶養する者の所得及び納税状況を証明する資料

⑦ 直近2年分の申請人及び申請人を扶養する者の公的年金及び公的医療保険の保険料納付状況を証明する資料

⑨ 理由書

⑪ 身元保証人の職業証明書

⑫ 身元保証人の最近1年分の所得の証明書

永住権の取得における身元保証人

身元保証人になる人は、主に申請人の金銭面や法令遵守についてサポートすることを法務大臣に約束することになります。具体的には、申請人の滞在費、母国への帰国費用、日本の法律や納税義務などの指導について保証します。金銭的なサポートを保証するため、保証人についても所得の証明が必要となります。

日本人の配偶者等の場合には、日本人の配偶者が身元保証人になるのが一般的です。

永住権の取得サポート

永住権を取得すると日本で生活が非常に安定することになります。過去に永住権を取るために不正が横行した背景もあり、ここ数年永住権の取得難易度が上昇しています。2017年以降では永住許可率は50%~60%で推移しています。また、必要となる書類も多く、必要書類の内容もケースによって異なります。

複雑で難易度の高い永住権を確実に取得するため、弊所がサポートします。

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