就労ビザ保有者の転職
就労ビザで日本に在留している外国人の方も何らかの事情で転職することがあります。就労系の主要な在留資格である「技術・人文知識・国際業務」では、同じ業務内容であれば在留資格変更をせずに転職することが可能です。しかし、就労ビザ保有者の転職時に入管に対して何も報告する必要が無いわけではありません。ここでは、外国人が転職に際して入管に対して行う手続きを説明します。
1.転職内容ごとの届出内容の違い
就労ビザ保有者の転職に当たっては、新しい職場を決めてから退職する場合もあれば、職場を退職してから新たな就職先を決める場合もあります。また、新たな仕事が前職と同じ業務内容である場合もあれば、違う業務内容であることもあります。外国人が転職する場合、これらの内容毎に入管への手続き内容も変わってきます。
勤務先は変わるが職務内容は変わらない場合
- 出入国管理局に所属(契約)機関に関する届出を提出してください。
転職により職務内容が変わるが保有する在留資格範囲内である場合
- 出入国管理局に所属(契約)機関に関する届出を提出してください。
- 就労資格証明書を取得しておくことをお薦めします。【>>就労資格証明書交付申請】
※保有する在留資格に新しい職場での職務内容が対応していない場合、在留期間の更新ができない恐れがあります。そこで、事前に就労資格証明書を取得することで、保有する在留資格と新たな職務内容の適合性を確認することができます。
転職により職務内容が変わり保有する在留資格範囲外の業務となる場合
- 必ず在留資格変更許可申請をしてください。【>>在留資格変更許可申請】
※職務内容が変わるにも関わらず、在留資格変更申請をせずに新しい業務を開始すると資格外活動違反に該当する恐れがあります。この場合は、転職先で仕事を開始する前に必ず在留資格変更許可申請をしてください。
2.所属(契約)機関に関する届出義務
就労ビザを持つ外国人が会社を退職した場合や、退職後に新しい会社に就職する場合には、退職や就職後14日以内に出入国管理局に対して「所属(契約)機関に関する届出」を提出する義務があります。この届出義務を怠ると次のような不利益を被るおそれがあります。
- 14日以内に届出をしない場合、20万円以下の罰金に処されることがある。
- ビザの更新・変更申請に、マイナス要素として審査に対し不利益に働く可能性がある。
※届出をしなかったことで1の罰金刑を課されることはあまり無いですが、2の更新・変更審査への影響は十分に考えられます。実際に届出をせずに更新申請をした方の更新許可が下りなかったケースを時々聞くことがあります。
3.所属(契約)機関に関する届出の手続き
所属(契約)機関に関する届出の書式
転職に関する届出の書式は、大きく分けて「退職だけの場合」「新たに就職する場合」「退職・就職する場合」の3種類があります。
1.退職だけの場合
2.新たに就職するだけの場合
3.退職して、新たに就職する場合
提出方法
<オンラインでの提出>
オンライン申請では、事前に認証IDを取得し、システム上で手続きを行います。
<郵送での提出>
郵送先は以下の通りです。
〒160-0004
東京都新宿区四谷1丁目6番1号四谷タワー14階
東京出入国在留管理局在留調査部門届出受付担当
※届出受付窓口はありませんので、オンライン又は郵送での手続きとなります。
提出期限を超えてしまった場合
転職時の届出については、退職日・就職日から14日以内に提出する必要があります。14日を過ぎてしまったときでも受付はしてくれますので、未提出に気が付いた時点で速やかに提出するようにしてください。
4.所属(契約)機関に関する届出が必要なケース
- 現在働いている会社で働きながら、別の会社でも長期間働く場合
- 他の機関に出向する場合
- 派遣会社は変わらないが派遣先が変わる場合
- 現在勤務している企業が他の会社と合併し、新しい会社名になった場合
- 勤務している部署が別会社へ事業譲渡された場合
5.届出提出後の処理
所属(契約)機関に関する届出は、提出すれば完了となり、更新や変更の場合のように許可・不許可の審査がされるわけではありません。したがって、勤務先変更の情報を速やかに届け出ることだけに留意すれば良いです。
6.所属(契約)機関に関する届出提出の厳守
転職時に所属(契約)機関に関する届出を提出しなければならない事を知らずに放置しているケースはかなり多い印象があります。届出をせずに在留期間となり更新申請をした場合、更新が不許可になる恐れがあります。例えば、日本で就業しているにも関わらず、不許可となってしまい、一度母国に帰国して在留資格認定証明書交付申請を余儀なくされたケースもあるようです。そうなると一度帰国して在留資格を取り直すと今までの在留実績はリセットされるため、永住権取得を考えている方は一からスタートする形になります。届出は提出すれば良いだけですが、未提出時の被害は甚大です。忙しくて提出できない方のために当事務所での提出代行も可能です。