里帰り出産~出産費用(韓国)~
国際結婚における里帰り出産事情について、我が家の事例をご紹介しました。【国際結婚カップルの出産~我が家の場合(韓国)~】我が家の場合には、韓国での里帰り出産で非常に良かったと思っています。ただし、我が家の事例は約20年前の話です。そこで、今回最近の韓国での出産事情ついて調べてみました。日本に住む国際結婚カップルや韓国人夫婦の方々が里帰り出産を検討する上で参考になれば幸いです。
出産費用(韓国)
我が家の長男(20年前)、次男(16年前)の出産では二人とも自然分娩でした。当時、韓国の父母が妻の健康保険を支払ってくれていたため保険適用での出産でした。1回目と2回目の出産は京畿道内の異なる医院でお世話になりましたが、それぞれ約80万W(当時のレートで約8万円)で日本の出産費用に比べると費用は少なく済みました。
最近の出産費用についても保険適用の自然分娩で80万W~100万W程度であるようです。このように出産費用については20年前から大きな変動はなく、現在でも日本に比べると出産における負担は軽いようです。
韓国の健康保険制度
ここで、韓国の健康保険制度について確認をしておきます。
国民健康保険制度
韓国も日本同様、全国民に加入が義務付けられている国民健康保険制度があります。国民健康保険料を主な財源とし、疾病等に対する医療サービスが給付されます。さらに韓国では出産もこの医療サービスに含まれており、低負担での出産ができるようになっています。私の妻の場合、両親が保険料を支払ってくれていたため、保険適用を受けることができました。では、海外で長期間居住していることにより保険料を支払っていない場合はどうなるのでしょうか?
海外在住者の保険適用
海外在住で保険料の支払いが止まると1ヶ月で自動的に保険は停止状態になるようです。そのため、一時的な入国時の病院での診察などは韓国籍の方でも手続きをしなければ保険適用外となります。ここで、保険加入について、韓国人と海外永住権保有韓国人・在外国民(特別永住者)・外国人との間で加入条件に違いがあります。
[海外での永住権を保有していない韓国人]
永住権を持たず、就労ビザ等で海外に在住する韓国人であれば、入国後すぐに国民健康保険に加入することが可能です。
[海外で永住権を保有する韓国人・在外国民(特別永住者)・外国人]
海外に永住権を持つ韓国人、在日韓国人のような特別永住者、そして外国人は韓国に入国してから6ヶ月経過後に国民健康保険加入資格が発生します。以前は入国してから3ヶ月後に資格が発生していました。しかし、保険適用で高額医療を受ける事例が多発したため、ルール改正されました。
国民健康保険料
国民健康保険料は収入や居住地によって異なります。
<保険料の計算式>
【職場加入】(韓国の企業や役所に勤めている方が対象)
個人月額保険料 = 平均月収 × 保険料率 × 50%(企業と被雇用者が折半するため)
※保険料率はソウル市で7.09%となっています。(2023年12月現在)
【地域加入】(職場加入以外の方が対象。自営業者、留学生、在外韓国人など)
個人月額保険料 = 保険料賦課点数 × 保険料賦課点数当り金額(KRW)
所得・財産によって個人(家族)単位で算定され、算定された保険料が前年度11月の全体加入者の平均保険料未満の場合は、平均保険料が適用されます。(ソウル市平均保険料:131,790KRW[2021年度])
日本での出産支援
出産一時金
出産一時金制度は1994年から子供一人当たり30万円でスタートし、2023年4月1日以降の出産から給付額は子供一人当たり50万円となりました。日本では出産は疾病ではないため健康保険の適用対象外とされています。そのため、日本での出産には数十万円の費用が掛かります。そこで、出産時の負担を軽減する目的で出産一時金制度が始まりました。
出産一時金は、日本の公的医療保険【被用者保険(健康保険・共済保険)、国民健康保険】に加入していれば給付を受けることができます。したがって、外国人であっても保険に加入していれば出産一時金の給付を受けられます。
海外で出産した方が給付を受けるには健康保険窓口へ直接申請することになります。出産一時金を直接申請するには、出産日の翌日から2年以内の申請が必要となります。海外での出産による出産一時金申請に必要な書類は以下の通りです。
- 出産を担当した海外の医療機関等の医師・助産師の証明書
- 出産日(期間)において、実際に海外に滞在していた事実を確認できる書類
- 海外出産の事実、内容について、協会けんぽが当該海外出産を担当した海外の医療機関等に照会することに関する当該海外出産をした者の同意書
- 上記書類の翻訳文
各種書類に翻訳文が必要な場合には当事務所にて対応致します。【>>翻訳サービス】また、健康保険窓口への直接申請でお困りの際には、信頼できる社会保険労務士の先生を紹介することも可能です。
出産手当金
企業などで勤務している被保険者が産休により仕事を休み給与がでなかったり、減額された場合に支給される手当です。出産手当金支給の条件は、
- 勤務先の健康保険の被保険者(本人加入)であること(被保険者の扶養家族は対象外)
- 妊娠4ヶ月以上を過ぎてからの出産であること(流産、早産、死産、人工妊娠中絶なども含まれます)
- 出産のために仕事を休んでいること(原則として休業中無給であること)
出産手当金金額については、標準報酬月額を基に算出されます。
※標準報酬月額平均した額=300,000円で産休90日の場合
出産手当金の1日あたりの支給額=300,000円÷30日×2/3=6,667円
総支給額=6,667円×98日=600,030円
韓国での出産支援
韓国も日本と同様出生率が非常に低いため、毎年出産支援の制度が拡充されています。主な出産支援は出産支援金と妊娠バウチャーです。
妊娠バウチャー
産婦人科で妊娠が確認されると国民健康保険公団に妊婦として申請します。妊婦登録されると妊娠バウチャー100万KRWの支援を受けることができます。妊娠バウチャーは出産後2年間使用が可能です。
出産支援金
出産後、国から200万KRWの出産支援金が給付されます。出産支援金の給付対象は、妊婦が住民登録地に6ヶ月以上在住しており、出生児も当該自治体に出生申告をすることが条件となります。申請期間は出生日から1年以内となります。
海外で里帰り出産で産まれた赤ちゃんの日本への入国
日本国外で出産し、赤ちゃんを連れて日本に入国する場合、その赤ちゃんの国籍によって入国方法がことなります。国際結婚カップルの出産では、いわゆる二重国籍も検討になるかと思います。ここでは日韓カップルで二重国籍の場合、韓韓カップルの場合を例に説明します。
日韓カップルの里帰り出産(二重国籍取得の場合)
大きく分けて以下の手続きがあります。
- 韓国での出生届
- 日本での出生届
- 韓国のパスポート申請⇒受取
- 日本のパスポート申請⇒受取
- 日本への入国
韓国で出産した場合、韓国側の手続きは通常の届出になります。一方で、上記2と4の日本関係の手続きが日本での出産よりも煩雑になります。
[日本での出生届]
出生届を日本の本籍地、住民票のある役所、在韓日本大使館に届け出ます。海外での出産の場合、出生日から3ヶ月以内に届け出ます。この時、赤ちゃんの国籍を確定させず二重国籍にする場合には、その他の欄に「日本国籍を留保する」の箇所に署名します。届出後、1~1.5ヶ月程度で赤ちゃんの名前が戸籍謄本に記載されます。
[日本のパスポート申請]
パスポート申請には戸籍謄本が必要となります。戸籍謄本に赤ちゃんの名前が記載された後、戸籍謄本を日本の親族に送付してもらい、在韓日本大使館でパスポートを申請します。パスポート申請に必要な書類は以下の通りです。
- 5年用パスポート申請書 1通
- 戸籍謄本(6カ月以内に発行のもの) 1通
- 写真(縦4.5cm、横3.5cm、顔の長さ3.4cm±2mm) 1枚
- 申請人(赤ちゃんの父又は母)を確認できる公文書(旅券等顔写真付きのもの)
[日本への入国]
前回の記事にも書きましたが、韓国出入国時には韓国のパスポート、日本への出入国時には日本のパスポートを提示します。
韓韓カップルの里帰り出産
日本在住の韓国人同士の夫婦で韓国で里帰り出産をし、日本に戻る場合には、赤ちゃんのビザ申請をする必要があります。流れは以下の通りです。
- 韓国内で出生届を提出
- パスポートの申請・受取
- 日本での家族滞在ビザ申請【>>家族滞在ビザ】
- 日本への入国
韓国人夫婦の赤ちゃんは韓国籍となりますので、日本に在留するためのビザが必要です。しかし、日本にいる家族は日本で仕事をしているお父さんだけであることが多いと思います。仕事中が忙しく、赤ちゃんのビザ申請の時間がない場合には、アクセス国際行政書士事務所にて代行申請致します。是非ご連絡下さい。
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